日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
砕石位での術後坐骨神経障害から,潜在した骨盤出口症候群の関与が判明した1例
有田 千紗都大納 哲也児玉 健士濱﨑 順一郎
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2024 年 44 巻 7 号 p. 599-603

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抄録

26歳女性.重複子宮,チョコレート嚢胞に対し,硬膜外麻酔併用全身麻酔下に腹腔鏡下右子宮摘出術,右付属器摘出が施行された.術後より右下肢の痺れが持続し,硬膜外麻酔の合併症を疑われ麻酔科外来へ紹介された.MRI検査で右双子筋の肥大を認め,詳細な問診により右下肢症状は術前からあったことがわかり,術中砕石位で臀部へ直接圧力が加わったことと腓骨神経障害予防のための股関節内旋により,骨盤出口症候群の症状が増悪したと診断した.砕石位の下肢神経合併症は確立された対応策が提示されてきているが,本症例のように患者特有な原因で生じる可能性もあり,各症例で術前問診を通して対応を計画していくことが重要である.

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© 2024 日本臨床麻酔学会
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