日本臨床麻酔学会誌
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心臓手術後の重症呼吸不全に対しECMOが著効を示した一症例
大西 佳彦北村 征治黒田 修宮本 勝彦
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1991 年 11 巻 3 号 p. 350-354

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抄録

1歳8ヵ月の女児の完全大血血転位症に対し,Sennig手術を施行した.術後2日目,気道出血より重症呼吸不全状態に落ち込み,通常の呼吸血理では改善しないため,体外式人工肺(以下ECMO)の使用に踏み切った.出血のコントロールには難渋したが,特に合併症や後遺症を残すことなく救命することができた.ECMOの使用は52時間と短期間であったが,肺を休ませ,損傷から回復させることができた.反面,ECMOは重篤な合併症や後遺症を引き起こす可能性はまだ高く,その適応の決定は慎重でなくてはならない.

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