1991 年 11 巻 4 号 p. 488-491
プレクラリゼーションは,サクシニルコリンによる血清カリウム値上昇を抑制するといわれているが,今回パンクロニウムによるプレクラリゼーションの後,サクシニルコリンを投与し高カリウム血症によると思われる心停止をきたした症例を経験した.症例はサクシニルコリン投与により血清カリウム値の上昇が予測される状況((1)頭部外傷,四肢不全麻痺,(2)脳脊髄液への血液の混入,(3)脳圧亢進状態,(4)肺炎)にあり,このような際,急速導入を必要とする場合は,サクシニルコリンの使用は,プレクラリゼーションのいかんにかかわらず避けるべきであると思われた.