日本臨床麻酔学会誌
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重症気管支喘息患者の麻酔経験
田中 敦子阮 秀山西野 卓
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1991 年 11 巻 4 号 p. 496-499

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抄録

発作を頻回に繰り返し,アスピリン,インドメサシン,リドカインなどの薬物にも過敏な39歳の重症気管支喘息患者に対する乳癌手術の全身麻酔を経験した.麻酔はケタミンで導入,ベクロニウムで筋弛緩を得,エンフルレンで深麻酔とした後,気管内挿管を行なった.術中麻酔維持はエンフルレン-笑気で行なった.この間,通常のモニターに加えて,生理食塩水で満たした気管内チューブのカフ.圧変動により気管平滑筋の収縮状態を観察した.麻酔中は気管内吸引操作時やネオスチグミンによる筋弛緩拮抗時にも喘息発作の発生は認められなかった.手術終了直前よりケタミンの微量点滴(0.5mg/kg/hr)を開始し,エンフルレン麻酔下で気管内チューブを抜管し静かに覚醒させた.術後経過中,回復室において軽い喘息発作が一度みられた他に治療を要するような発作は生じなかった.ケタミン微量点滴は術後2日間持続することにより,発作予防と良好な術後鎮痛が得られた

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