日本臨床麻酔学会誌
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食道癌根治術後気道潰瘍にダブルルーメン気管切開チューブを用いて呼吸管理を行なった一症例
天野 勝春名 優樹濱生 和加子川端 一永山崎 恵司
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1991 年 11 巻 5 号 p. 636-640

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抄録
食道癌根治術後の呼吸管理中に気道潰瘍からの持続的出血と気管壁からの大量のエアーリークをきたした症例を経験した.これは縦隔リンパ節郭清や気管周囲組織の剥離により気管の脆弱化,血流低下のために潰瘍形成や気管穿孔を起こしたためと考えられた.この症例に対して左右分岐型ダブルルーメン気管切開チューブ(DLTT)を用いることにより血液垂れ込みの防止,損傷部の安静が可能となりウィーニングに成功した.気管壁に損傷がある症例には両気管支のカフでブロックし損傷部の安静をはかる必要がある.このような場合,気管分岐部から左右上葉気管支までの距離を測定し両気管支のカフでブロックできるようなチューブを作製するのがよい.
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