抄録
心電図上,高度の伝導障害を認める患者では,麻酔中に高度の徐脈となる可能性が高い.われわれはこのような症例の手術に際し,経皮的体外ペースメーカー(transcutaneous cardiacpacemaker: TCP)を装着して麻酔管理を行なっている.術中TCPが有用であった洞不全症候群の2症例を経験した.症例1では術後14日目に意識消失発作を認めたため,永久ペースメーカー植え込み術を行なった.症例2では術中,主にTCPによるレートが約10分間続いた.2症例ともTCPにより速やかに術中の徐脈に対処することができ,血圧の低下や合併症を認めなかった.