抄録
Beckwith-Wiedemann症候群の口蓋形成術の麻酔を経験し,周術期における気道確保の問題点について検討した.本症例では,喉頭から声門部が腫大していたため適切な太さのレイチューブ®を挿管することができなかった.また,浅めに挿入された細いレイチューブ®は,頸部後屈,開口器装着により容易に抜管されてしまい,チューブの固定に注意を要した.さらに,術後の舌根沈下を予防するために,舌先端部に絹糸をかけて固定し,気道の閉塞を防いだ.本症候群の三大主徴の一つである巨舌症を中心とした口腔内病変は,周術期の気道確保の妨げとなるため,その術前評価と準備が重要と考えられた.