日本臨床麻酔学会誌
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麻酔導入、抜管時の吸入酸素濃度の差は術後の酸素化障害および無気肺発生に寄与しない
高橋 進一郎高地 哲夫石橋 史子富永 静子坂下 美彦長谷川 里砂
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1998 年 18 巻 10 号 p. 755-758

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抄録

純酸素吸入は,より低濃度の酸素吸入時に比べ吸収性無気肺を起こしやすいことが実験的に示されている.そこで,麻酔導入時と抜管時の純酸素吸入が,臨床的に問題となる術後の酸素化障害や,無気肺を引き起こしているか否か検討を行なった.幽門側胃切除を予定された呼吸器合併症のない21例を対象とし,麻酔導入時と抜管時の各10分間,純酸素吸入を行なう群と40%酸素吸入を行なう群に分けて,術中から術後24時間までの動脈血酸素分圧,術直後と術後第1日の胸部X線写真を比較した.その結果,両群間で有意な差を認めず,麻酔導入,抜管時の吸入酸素濃度の差は術後の酸素化障害および無気肺の発生に寄与していなかった.

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