1999 年 19 巻 6 号 p. 404-409
帝王切開術を受ける患者30人を無作為に2群に分け,テトラカイン•リドカイン混合液1.5mlあるいはジブカイン1.5mlのいずれかを用いて脊椎麻酔を行なった.寒冷テスト,ピンプリックテストによる麻酔域は両薬液でほぼ同等であったが,児娩出時の腹部圧迫痛やその後の痛みに対してはテトラカイン•リドカイン混合液が優れ,麻酔手術中に鎮痛薬を必要とする症例も少なかった.吐き気もテトラカイン•リドカイン混合液で少ない傾向がみられた.血圧や心拍数の変化,新生児のアプガースコアには両薬液で差はみられなかった.テトラカイン•リドカイン混合液1.5mlを30秒かけてクモ膜下腔に注入する脊椎麻酔は,帝王切開術の麻酔として優れていた.