日本臨床麻酔学会誌
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手術後に食道アカラシアが判明した患者の麻酔経験
日高 帯刀吉嶺 孝和竹原 哲彦入部 玄太郎増田 美奈上村 裕一
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2001 年 21 巻 1 号 p. 49-51

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抄録

喘息の既往をもつ交通外傷患者の下腿骨接合術および抜釘術に対し,2回の全身麻酔を行った.初回の麻酔導入のマスク換気中に換気不良を経験したが,喘息発作と判断し,アミノフィリンとステロイドの投与により改善した.さらに,12ヵ月後の2回目の麻酔導入後にも換気不能となり,17時間の術前の絶飲絶食にもかかわらず口腔内に吐物を認めたIただちに気管挿管し,酸素・亜酸化窒素・セボフルランで麻酔を行い換気可能となった.2回目の手術後に,胸部X線写真を再検討し,食道内圧検査を行ったところ食道アカラシアの存在が判明し,根治術を行った.前医での喘息の診断は食道アカラシアによる誤嚥が原因と考えられた.食道アカラシアには,喘息の既往に惑わされることなく正しい術前診断が必要であると再認識させられた.

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