抄録
帝王切開時に用いる子宮収縮薬のオキシトシン(OX)とプロスタグランジンF2α(PGF2α)の体循環への影響と副作用について検討した.対象は脊椎麻酔下に帝王切開術を受けた基礎疾患のない妊婦68人で,OX群(n=34)では0×5単位を点滴静注し,PGF2α群(n=34)ではPGF2α500μgを子宮筋内に注入した.患者背景に群間差はなかった.子宮収縮薬投与直後,5分後の血圧はPGF2α群で有意に高かった.心拍数に有意差はなかった.副作用発生率(OX群=PGF2α群,32%=71%,p<0.05),および子宮収縮薬の追加投与頻度(6%:47%,p<0.05)はいずれもPGF2α群で有意に高かった.帝王切開時の児娩出後に使用する子宮収縮薬として,OXはPGF2αと同等かそれ以上の効果を示し,血行動態の変動,副作用がPGF2αと比べ少ないと考えられた.