2002 年 22 巻 5 号 p. 207-210
僧帽弁狭窄症(以下MS)を合併し心不全状態にあった妊婦の帝王切開の麻酔を経験した.妊娠31週の精査にてMSと診断され,33週には心不全(NYHAIV)となり,治療にても軽快しないため帝王切開を施行することとなった.周術期に循環虚脱の可能性を考慮し,経皮的人工心肺補助装置(以下PCPS)をスタンバイする計画を立てた。PCPSに伴うヘパリンの使用を考慮し,手術当日用いる硬膜外カテーテルは手術前日に留置した.術当日は硬膜外腔に0.25%ブピバカインを投与しつつPCPSのシースを挿入しTh6からS4までの無痛域を得て帝王切開を行った.