抄録
外傷性三叉神経ニューロパシー患者13名に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬パロキセチンの効果を検討した.パロキセチンを10~20mg・d-1継続し,異常感覚による不快感の変化を投与前後で比較した.不快感の強度をVisual Analogue Scale(VAS)にて,また情動の変化をうつ性自己評価尺度(Self-rating Depression Scale:SDS)および状態・特性不安検査(State-Trait Anxiety Inventory:STAI)にて評価した.パロキセチン投与前後での不快感の強度のVASの中央値は65から23へ有意に低下した(p=0.0015).これに対し,SDSは35から40,特性不安は41から39,状態不安は38から35といずれも有意な変化を認めなかった.パロキセチンは外傷性三叉神経ニューロパシーに対して有効であると思われる.