日本臨床麻酔学会誌
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全身麻酔の血清クレアチンフォスフォキナーゼ値に及ぼす影響
渡辺 謙一郎萬家 俊博佐々木 裕美新井 達潤
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1988 年 8 巻 1 号 p. 83-88

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抄録

麻酔の血清クレアチンフォスフォキナーゼ(CK)レベルに及ぼす影響を調べた. 39人の患者を麻酔法, 年齢によりA群, n=15, 全麻(N2O-O2-エンフルレン), 10歳以下(6.9±2.1歳); B群, n=15, 全麻, 10歳以上 (27.7±16.5歳); C群, n=9, 局麻, 成人 (40.2±15.6歳) の3群に分けた. A, B群では扁摘術を, C群では副鼻腔炎手術を行った.
A, B, C群およびA+B群 (全麻群) の術前、術中、術後のCK値 (mU/ml) はそれぞれ, (A群), 59.20±4.34, 163.80±41.70, 254.73±60.20; (B群), 63.80±7.83, 72.00±22.05, 111.67±30.46; (C群), 43.11±2.53, 45.00±9.08, 50.22±9.75; (A+B群), 61.50±4.42, 123.00±28.73, 183.20±35.71 (mean±SE) であった. A群の前後値間, A+B群の前中後値間, および全群の後値間に有意差が認められた. CKのサブタイプはMM型が95%以上を占め, 術後5日以内に正常化した.
以上より, 全身麻酔は骨格筋細胞膜の安定性を障害し, その障害性は小児においてより高度であると結論した.

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