日本臨床細胞学会雑誌
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原著
子宮頸部乳頭状扁平上皮癌の臨床と細胞病理学的検討
大沼 眞喜子田勢 亨加藤 浩之植木 美幸阿部 美和竹内 美華永瀬 智松永 弦佐藤 郁郎立野 紘雄
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2007 年 46 巻 6 号 p. 344-349

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抄録

目的 : 子宮頸部乳頭状扁平上皮癌 (PSCC) は, 生検では浸潤の診断が困難である. そこでPSCCの診断と組織発生について検討した.
方法 : 1995~2005年に宮城県立がんセンターで診断されたPSCC20例について, 臨床所見, 細胞診, 組織診, CK7・CK20・P16INK4aの免疫組織学的検討を行った.
成績 : 主訴は不正性器出血で, 多くは肉眼的に乳頭状浸潤癌を示した. 腫瘍径は25~60mmで12例が40mm以上だった. 臨床進行期はI期3例, II期12例, III期5例であった. 組織診では腫瘍細胞は血管を取り囲んだ間質を中心に重層性, 乳頭状に増殖し, 組織所見より移行上皮型8例, 扁平上皮型4例, 混合型8例に亜分類された. 細胞診では腫瘍性背景に小型悪性細胞や角化型悪性細胞などが認められ, すべて浸潤扁平上皮癌の診断であった. CK7・CK20免疫染色では, PSCCは移行上皮癌よりは扁平上皮癌の所見を示した. P16INK4aを用いたHPV検索では19例が陽性を示した.
結論 : PSCCは肉眼所見や細胞診が浸潤の診断に有用である. CKの所見やP16INK4a陽性によりPSCCは扁平上皮癌由来と考えられる.

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© 2007 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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