日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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原著
  • 江坂 四季音, 松田 陽子, 浜島 裕理, 今泉 雅之, 児島 宏哉, 木曽 有里, 白幡 浩人, 木下 真由美, 鈴木 明美, 新井 冨生
    2018 年 57 巻 4 号 p. 199-212
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 本研究は, 膵臓の超音波内視鏡下穿刺吸引 (endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration : EUS-FNA) 検体による細胞学的診断の向上のため, 膵管上皮異型細胞の細胞像およびセルブロック検体組織像の特徴的所見を明らかにすることを目的とした.

    方法 : 2013 年 6 月から 2016 年 5 月までに当施設において膵病変に対して EUS-FNA が施行された 97 例を対象とした. 対象を正常, 軽度異型, 高度異型/癌の 3 群に分け, 細胞像, 組織像, 免疫組織化学的所見について検討した.

    成績 : 細胞学的に高度異型/癌群では, 壊死は 48.8%, 乳頭状集塊は 86.6%の症例にみられた. また組織学的に軽度異型群では胃型粘液を 50.0%, 高度異型/癌群では胆膵型粘液を 70.5%と高頻度に認めた. Ki-67, p53 は高度異型/癌群で各 22.0%, 34.4%と高い陽性率を示した. SMAD4 は高度異型/癌群の 19.0%で陰性を示し, 他群は全例陽性であった.

    結論 : EUS-FNA における膵病変の診断には, 細胞診検体の背景, 構造, 細胞異型だけでなく, 粘液の所見や癌関連タンパク質の発現も重要な所見となりうる. セルブロック用に検体を同時に採取し, 粘液染色や免疫組織化学的検索を行い, 総合的に判断することが正確な細胞学的診断につながる.

症例
  • 橋田 宗祐, 藤原 聡枝, 寺井 義人, 大道 正英
    2018 年 57 巻 4 号 p. 213-216
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 尖圭コンジローマは通常, 外陰部に発生し, 膀胱内に発生する頻度はまれである. 膀胱コンジローマは血尿や頻尿, 尿閉などの自覚症状を契機に発見されることが多い. 今回, 無症状であったがスクリーニングで行われた尿細胞診が発見の契機となった膀胱コンジローマの症例を経験した.

    症例 : 症例は 37 歳, 女性で既往歴に SLE があり, SLE 脳症が原因で発症した神経因性膀胱のため自己導尿を行っていた. 過去に外陰部の尖圭コンジローマに対して焼灼術を施行している. 4 年後に定期検診の尿細胞診でコイロサイトーシスを起こした細胞を認め, 膀胱鏡検査を行ったところ膀胱内に尖圭コンジローマの増殖を認め, 膀胱鏡下に病変を摘出した. 以降に膀胱内の再発は認めていない.

    結論 : 非侵襲的な尿細胞診が膀胱コンジローマを発見する契機となりうる. 免疫抑制状態, 自己導尿中, 外陰部コンジローマ病変の存在など, 膀胱コンジローマのリスク因子をもつ患者には, 尿細胞診による定期的な経過観察が必要であることが示唆された.

  • 松重 貴大, 桑本 聡史, 山田 恭子, 持田 洋利, 遠藤 由香利, 大野 千恵子, 堀江 靖
    2018 年 57 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

    背景 : Superficial CD34-positive fibroblastic tumor は 2014 年に Carter らによって中間悪性度腫瘍として提唱された軟部腫瘍の新規疾患概念である. 今回われわれは本腫瘍の 1 例を経験し, その細胞像について検討したので報告する.

    症例 : 18 歳, 男性. 右大腿遠位内側に 9 cm の皮下腫瘤を生じ, 広範切除術が施行された. 切除検体から圧挫・捺印・液状化細胞診標本を作製した. いずれも血管間質や慢性炎症細胞浸潤を示す背景に, 異型細胞を多量に認めた. これらの細胞は紡錘形で好酸性顆粒状の胞体を有し, 細胞境界は不明瞭, 核は多形性を示し核内細胞質偽封入体も散見した. 壊死はみられず, 核分裂像は極少数であった. 免疫細胞化学にて異型細胞は CD34 に強陽性を示した.

    結論 : 核内細胞質偽封入体を含む多形性核は一見, 高悪性度腫瘍を思わせるが, 壊死の欠如や核分裂像の少なさが一般的な高悪性度肉腫と異なっており, さらに特徴的な臨床像や CD34 陽性所見と併せることで, 本腫瘍を推定し鑑別診断に挙げることが可能と思われた.

  • 山代 翔大, 園部 宏, 門田 有紗, 海原 恭子, 羽原 利幸, 和久 利彦
    2018 年 57 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

    背景 : ラブドイド細胞の出現を伴う甲状腺未分化癌はきわめてまれである. 今回, 最近経験した 1 例の穿刺吸引細胞診所見, 転写法による免疫細胞化学的所見, 腫瘍の組織学的および電顕所見について報告する.

    症例 : 患者は 80 歳代の男性で, 左肘部皮下腫瘤の生検で転移性癌が疑われた. CT で甲状腺右葉から尾側に膨隆する腫瘤を認めた. 甲状腺穿刺吸引細胞診で, 結合性が弱く, 高度の核異型を示す多彩な腫瘍細胞が多数出現し, 核偏在性で細胞質内に “硝子様封入体” を有するラブドイド細胞もみられた. 細胞診標本を用い, 転写後に免疫染色を施行した. 腫瘍細胞は cytokeratin と vimentin に陽性であり, 特に “硝子様封入体” は強陽性を示した. 全摘された甲状腺腫瘍では, 大部分で多形性を示す未分化癌成分がラブドイド細胞を伴って増殖し, 一部に典型的な乳頭癌成分を認めた. 電子顕微鏡的には, 核偏在性で細胞質が豊富な腫瘍細胞は, 多量の中間系フィラメントが凝集を示し, ラブドイド細胞であることが裏づけられた.

    結論 : ラブドイド細胞の出現を伴う本例の甲状腺未分化癌の診断に際し, 細胞転写と細胞免疫化学染色は有用であった.

短報
  • 新垣 善孝, 桃原 英子, 安里 真奈美, 仲里 巌
    2018 年 57 巻 4 号 p. 230-232
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

     We report a case of SALL4-positive adenocarcinoma detected by ascitic fluid cytology that suggesting peritoneal dissemination of AFP-producing stomach cancer in a man in his 60's. Large-sized, tightly packed cell clusters were observed. In addition, papillary-like protrusions were seen from the cell clusters, and sheet-like clusters were also seen. The cell clusters consisted of 1 to 2 layers, and the sheet-like clusters, in particular, were morphologically similar to mesothelial cells. Immunohistochemistry yielded negative results for all markers of mesothelial origin, while the results for some adenocarcinoma markers and SALL4 were positive. A proportion of the adenocarcinoma cells in the stomach biopsy specimens was also positive for AFP and SALL4. It was difficult to determine the primary lesion from the cell morphology, however, the SALL4 positivity provided a useful clue.

  • 三窪 将史, 坂口 忍, 園田 大, 吉田 功, 佐藤 之俊
    2018 年 57 巻 4 号 p. 233-234
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/28
    ジャーナル 認証あり

     A 64-year-old male underwent bullectomy for right pneumothorax. During the operation, a bulla and pleural plaque were found, but there were no other abnormal findings. Seven months later, he presented with exertional dyspnea and imaging examinations revealed right pleural effusion and pleural nodules. Cytological examination of the pleural fluid showed isolated round to elliptic-shaped atypical cells with multiple eccentric nuclei. The diagnosis of malignant mesothelioma was established by histological examination combined with immunohistochemical analysis of pleural biopsy specimens. Early cytologic or histologic approaches should be considered in elderly patients with pneumothorax, especially those with a history of asbestos exposure and/or pleural plaque.

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