2010 年 49 巻 6 号 p. 426-430
目的 : 気管支細胞診は確定診断的な意味合いをもつ重要な検査である. われわれは自施設での検体採取における問題を改善し品質向上への試みを行った.
方法 : 2008 年 1∼9 月に行われた気管支鏡検査において, 臨床医との検査開始前打ち合わせ, 細胞検査士による現場での検体処理, 擦過に利用したブラシの後処理による細胞採取, 気管支洗浄液処理への LBC (liquid based cytology) 法導入, インシデント防止対策について取り組んだ.
成績 : 臨床医の意図を理解した細胞検査士による現場での処理により, 検体枚数の適正化や処理までの時間短縮, 検体の適切な仕分けが行えるようになった. ブラシ後処理や気管支洗浄液の LBC 法導入よりも採取現場での細胞検査士による適切な塗抹手技がより重要であると考えられた.
結論 : 正確な細胞診のためには, 臨床側とのコミュニケーションをとりつつ, 積極的に検体採取現場に出向いて適切な検体処理をする, という基本的な作業が重要であることが再認識できた.