日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体癌およびその前癌病変の細胞診
井上 悟伊藤 昌春東矢 俊光小山 伸夫藤崎 俊一徳永 達也松山 茂麿三森 寛幸広瀬 英治小山 保広
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1984 年 23 巻 4 号 p. 524-531

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抄録

子宮体癌の早期発見のため, エンドサイト法による子宮内膜細胞の採取を行い, adenomatoushyperplasia (8例), atypical hyperplasia (6例), 子宮体癌 (21例) の細胞像と組織の比較検討を行った.
1) adenomatous hyperplasiaではclass II-IIIaを示し, class IIIb以上のものは認めなかった. atypical hyperplasiaではclass IIIbのものが最も多いが, 一部ではclass IVを示すものがあり, 子宮体癌との鑑別が困難なものが存在した.
2) 子宮体癌の浸潤が進むにつれ, 採取されてくる異型細胞数は増加傾向にあった.
3) 子宮体癌細胞の重積性に関して, 吸引法ではgrape formationをきたしやすいが, エンドサイト法では組織を反映し, 乳頭状配列あるいは腺腔構造を呈した.
4) adenomatous hyperplasia, atypical hyperplasia子宮体癌と異型性が増すにつれて, 核径は増大し, 子宮体癌においては, 15μ 以上のものが存在した.
5) 子宮体癌の分化度と核小体の大きさとの間には相関が認められ, 未分化になるほど核小体は増大していった.
エンドサイト法による子宮体癌の正診率は85.7%, 疑陽性のものを含めると95.2%となり, 子宮体癌のスクリーニングとして有用と思われる.

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