乳腺細胞診における光顕, 電顕レベルでの酵素抗体染色法の応用を報告した.現在までに得られた結果は以下のごとくである.
1) 乳癌細胞は, Carcinoembryonic antigen (CEA) の局在様式の変化により, 容易に良性細胞と識別できる可能性が示唆された.
2) 種々のいわゆる乳腺特異マーカーのうち, Pregnancy-associated α-2 glycoprotein (PAG) は, 免疫組織細胞化学的に, 乳腺に特異性を有している可能性が示唆された.
以上より, 乳腺腫瘍の酵素抗体法は, 補助診断法として有用であると考えられた.