日本臨床細胞学会雑誌
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原発性悪性心膜中皮腫の1例
小林 誠一三浦 弘資川井 俊郎兼子 耕久保野 幸子芳賀 美子羽石 恵理子木村 壮介竹田 幸一
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1985 年 24 巻 4 号 p. 747-753

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抄録

48歳女性の心膜に発生した原発性悪性中皮腫を経験したので, 捺印細胞所見, 組織化学, 免疫組織化学および電顕的検索を行った.捺印細胞診では, 上皮様細胞と非上皮様細胞が混在し, 軽度の重積性および敷石状配列を示していた.上皮様細胞は類円形で, 比較的豊富なレース状の胞体を有し, 核は中央に位置していた.核径は7~11μ で軽度の大小不同を示し, 核縁は平滑, クロマチン増量は軽度で細顆粒状を呈し均等に分布し, 核小体は小型であった.非上皮様細胞は紡錘形で, 核の長径は10~16μ であり, クロマチン増量は中等度で細ないし粗顆粒状を呈し, 核小体は不明瞭であった.組織学的には, 腫瘍の大部分は乳頭状および管腔形成性に増殖していた.さらに, 類円形・多稜形および紡錘形の細胞が充実性敷石状に配列していたが, 線維肉腫様の像は認められなかった.腫瘍細胞はビアルロン酸産生能を有していた.PAS染色は一部で弱陽性を示しdiastaseで消化され, mucicarmine染色は陰性であった.ケラチン染色は捺印細胞ではいずれも陽性だが, パラフィン包埋切片では非上皮様細胞の大半が陰性を示した.電顕的には, 多数の微絨毛, tonofibril, tonofilament, desmosome, basallaminaなどが存在した

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