日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体癌のスクリーニングにおける子宮内膜細胞診とセルブロック法併用の有用性
藪下 廣光古谷 博水野 義己小枝 吉紀原 一夫野口 昌良中西 正美
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1089-1093

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抄録

子宮内膜細胞診の診断精度の向上を目的として, 子宮内膜細胞診とともに, 細胞診材料採取時に得られた小組織片を用いた組織診 (セルブロック法) を子宮内膜細胞診と併用して行い, その有用性を検討した.
不正性器出血, 癌検診希望などを主訴とした患者87例を対象とし, 21例については, 内膜試験掻爬による組織診を併せて行った.
子宮内膜細胞診の結果は, 陰性78例, 疑陽性3例, 陽性6例であり, セルブロック法の結果は, 悪性所見なし62例, 異型増殖症1例, 腺癌8例, 検体不良16例であった. セルブ'ロック法での検体不良例を除く71例について, 両者の結果が一致したものは67例 (94.4%) であり, 子宮内膜細胞診が陰性でセルブロック法では異型増殖症と判定したものが1例, 子宮内膜細胞診が疑陽性とした3例のうちで腺癌と判定したもの2例, 悪性所見なしと判定したもの1例があった. 内膜試験掻爬による組織診を行った21例のうち腺癌は9例あり, これらでの子宮内膜細胞診の陽性例は6例 (66.7%) であったのに対し, セルブロック法の陽性例は8例 (88.9%) であった.
以上の結果より, 子宮内膜細胞診とセルブロック法の併用は, 子宮体癌スクリーニングにおける細胞の判定の困難性を克服することで細胞診の診断精度を明らかに向上させうることが示された.

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