日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
子宮体部非上皮性悪性腫瘍の細胞診に関する検討
坂井 秀隆馬場 寿美子高尾 直大森山 伸吾小寺 宏平中島 久良行徳 豊山辺 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 34 巻 6 号 p. 1098-1103

詳細
抄録

子宮体部非上皮性悪性腫瘍の子宮腔細胞診による診断精度について, 最終組織診断, 腫瘍発育形式, 進行期分類および臨床症状の面より検討した. なお, 子宮腔内細胞採取には, エンドサイトを用いた. 最近14年間に手術された子宮体部非上皮性悪性腫瘍17例を対象としたが, その術前の組織型別細胞診陽性率は平滑筋肉腫2/9例, 横紋筋肉腫1/1例, high gradeの子宮内膜間質肉腫2/3例, ミューラー管混合腫瘍 (MMT) 3/4例であり, pure sarcomaの陽性率 (39%) はMMT (75%) に比べて低かった. この細胞診陽性8例中6例は細胞所見により非上皮性悪性腫瘍の推定がなされていたが, 子宮内膜間質肉腫の1例は起源不明の悪性腫瘍, またMMTの1例は腺癌が疑われていた.
Pure sarcoma 8例およびMMT4例は腔内発育型であり, それぞれの細胞診陽性率は63%および75%と大差なかったが, 壁内限局型の5例はいずれもpure sarcoma (平滑筋肉腫) であり, 全例が細胞診陰性であった. 子宮体癌の手術進行期分類を適用した場合の細胞診陽性率はI期36%, III-IV期67%と病巣の進展したものほど細胞診の陽性率も上昇する傾向が伺われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top