日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣原発類内膜間質肉腫の1例
早川 清一郎佐藤 信二高野 忠夫我妻 理重田野口 孝二岡本 聡矢嶋 聰並木 恒夫
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1200-1204

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抄録

卵巣の問質肉腫は類内膜腫瘍に分類されるもので, 婦人科の悪性腫瘍の中でもきわめてまれな疾患である. 病理組織学的には子宮内膜間質肉腫に類似する腫瘍で, 卵巣子宮内膜症内の問質細胞から発生すると推定されている. 今回, Endometroid Stromal Sarcoma of the Ovaryと診断した1例を報告する. 症例は62歳の女性で, 下腹部腫瘤を主訴に受診し, 内診で右付属器は新生児頭大, 可動性は不良であり, 画像診断では大部分充実性で中心部に液性部を有する12cm×12cmの腫瘍を認めた. 手術時所見では少量の腹水を認め, 腫瘍はダグラス窩に強固に癒着し, 大網に転移を認めた. 術中腹水細胞診で結合性の乏しい, 細胞質の少ない紡錘形の異型細胞の集塊を認めた. 病理組織は, 軽度の核異型を有する類円形~ 長紡錘形の腫瘍細胞がシート状に増殖し, 鍍銀およびAzan-Mallory染色では細網線維が個々の腫瘍細胞にまとわりつくように増生していた. Mitosisは全視野を通じて2~3MF/10HPFで10MF/10HPF以下であり, low gradeと診断した. 免疫染色ではVimentin (+), Smoothmuscleactin (+), Desmin (+), S100 Protein (-) であった。術後補助療法としてCAP療法を3クール施行し, 術後29ヵ月経過したが再発を認めていない.

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