日本臨床細胞学会雑誌
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乳腺原発扁平上皮癌の細胞学的検討
松井 成明土屋 眞一北村 隆司伊藤 仁津田 祥子九島 巳樹塩川 章
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1999 年 38 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

乳腺原発扁平上皮癌5例の細胞学的検討を行った.対象症例の発症年齢は, 44歳から72歳 (平均63.0歳) と高く, 腫瘍径3cm以下が3例で比較的小さいものが多かった. 5例中4例で肉眼的に壊死や嚢胞形成を認めた. これらの細胞像は,(1) 腺癌細胞が混在しない純粋型の角化型扁平上皮癌 (1例),(2) 腺癌細胞および扁平上皮癌細胞の混在癌 (3例),(3) 個々の腫瘍細胞が扁平上皮化生細胞に類似する扁平上皮癌 (1例) の3型に分類され, これらは組織像をよく反映していた.また, 免疫組織化学的なケラチンの発現性にも差異があり,(1) では扁平上皮系ケラチン陽性, 腺系ケラチン陰性で,(2),(3) では両ケラチンの発現が認められるが,(3) では角化細胞型ケラチンは陰性であり, 細胞および組織学的所見をよく反映していた.

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