日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
リンパ節転移を伴った子宮頸部リンパ上皮腫様癌の1例
新井 努上坊 敏子鈴木 泉渡辺 純岩渕 啓一蔵本 博行
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 41 巻 6 号 p. 443-447

詳細
抄録

背景:子宮頸部リンパ上皮腫様癌 (Lymphoepithelioma-like carcinoma, LELC) はまれな腫瘍である.一般にリンパ節転移率が低く予後は良好であるとされている.
症例:56歳, 不正出血を主訴に受診.子宮頸癌Ilb期の診断で広汎性子宮全摘出術, 両側付属器切除術, 骨盤リンパ節廓清を施行した.左傍結合組織, 左総腸骨節, 左外腸骨節, 左右内腸骨節に転移を認めた.肉眼的には腫瘍と正常部分の境界は明瞭で, 組織学的には未分化な角化傾向のない腫瘍細胞が, 周囲問質に多数のリンパ球の浸潤を伴って巣状に増殖浸潤していた.細胞診では, 多数のリンパ球浸潤を伴う腫瘍性背景のなかに, 腫瘍細胞が孤立性または大小の集塊を形成して出現していた.核は大小不同性に富み, 核クロマチンは増量し, 核縁への凝集を認めた.1~3個の明瞭な核小体を認めた.細胞質は淡く, 細胞境界は不明瞭で多形性に富んでいた.角化細胞や腺管構造様所見はみられなかった.
結論:子宮頸部LELCはまれな腫瘍であるが, 特徴的な所見から細胞診断可能である.多発性リンパ節転移をきたす場合がある.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top