日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなった子宮結核の1例
新家 秀大浦 訓章株本 和美原田 徹清川 貴子河上 牧夫落合 和徳田中 忠夫
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2002 年 41 巻 6 号 p. 453-456

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抄録

背景:慢性腎不全による血液透析導入後の結核性子宮内膜炎を経験したので報告する.
症例:44歳, 女性.慢性腎不全患者.持続する不正性器出血と鉄欠乏性貧血を認め, 精査目的で受診となる.子宮頸部細胞診では異常を認めなかったが, 子宮内膜細胞診にて, 高度のリンパ球浸潤を伴う炎症性背景の中にLanghans型と思われる多核巨細胞と類上皮細胞の集塊を認めた.子宮内膜の病理組織診では結核をはじめとする慢性炎症性肉芽腫性病変が認められた.結核菌DNA検査陰性であったが, 抗酸菌染色陽性, ツベルクリン反応陽性, 結核菌培養検査陽性であったため子宮結核と診断した.抗結核剤治療開始3ヵ月後, 子宮内膜細胞診では, Langhans型多核巨細胞は消失し, 軽度の炎症性背景の中に, 正常子宮内膜細胞が認められるようになった.
結論:子宮結核はまれな疾患ではあるが, 血液透析患者には比較的高率に発症する.子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなり, また治療効果の判定に有効な手段となることが示唆された.

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