日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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原著
外来化学療法を受けているがん患者の気がかり評定尺度の開発と信頼性・妥当性の検討
神田 清子石田 順子石田 和子堀越 真奈美伊藤 民代狩野 太郎
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2007 年 21 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

要 旨

本研究の目的は,外来化学療法を受けているがん患者の気がかりを簡便に測定することのできる尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである.気がかり評定尺度の質問票の原案は,面接調査と文献検討に基づいて作成し,化学療法を受けているがん患者の気がかりに関する30項目で構成した.その後,同意の得られたがん患者275名を対象に自己記述式による調査を施行した.有効回答率74.9%(206名)のデータを用いて項目分析を行った.その結果,『自己存在』,『病気の進行』『日常生活の再構成』『社会・経済の見通し』の4下位尺度,合計15項目から構成される化学療法を受けているがん患者気がかり評定尺度(CCRS)を作成した.尺度の信頼性の検討は,Cronbach’s α係数とSpearman―Brownの公式により信頼係数を算出した.それぞれの信頼係数は0.88,0.89であり,高い内的整合性と安定性が確認された.

また,CCRSと状態不安尺度,ストレス反応尺度との間に有意な相関関係(p<0.0001)を認め,基準関連妥当性が支持された.さらに統計学的に因子妥当性も確認された.

以上のことから,作成したCCRSは,高い信頼性,妥当性を有し,今後の臨床への応用が期待される測定用具であることが示唆された.

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2007 一般社団法人 日本がん看護学会
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