2009 年 23 巻 3 号 p. 4-13
要 旨
本研究は,終末期のがん患者を看病するという配偶者のストレスフルな体験について,そのストレス―対処過程に焦点を当て,配偶者のその場その時の状況認識とそれらの状況認識がもたらすストレス―対処過程の特徴/パターンを明らかにすることを目的として行った.緩和ケア病棟に入院中のがん患者の配偶者12名を対象として半構成的なインタビュー調査を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.
分析の結果,終末期がん患者を看病する配偶者のストレス―対処過程に関連する6つのカテゴリー:《つらくてしかたがない状況の特徴》,《つらくてしかたがない原因》,《患者のために尽くすという気持ちを起こさせる機能》,《患者のために尽くす方法》,《現状を受け入れる理由》,《現状を受け入れた結果》が明らかになった.本研究では,終末期がん患者の配偶者は,“つらくてしかたがない”という言葉で象徴されるストレスフルな状況におかれていた.しかし配偶者は,患者のために尽くし,現状を受け入れることでこのストレスフルな状況に対処していた.その結果,配偶者は患者に尽くし続けるとか,尽くすことの意味を感じるようになり,心身の安定を取り戻すことができるようになることが示された.