日本がん看護学会誌
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原著
ステージⅠで手術を受けた胃がん体験者が病気を受けとめるプロセス
内海 知子藤野 文代
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2011 年 25 巻 2 号 p. 6-13

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抄録

要 旨

がん罹患者数が増える中,初期の病期であるステージⅠという段階で治療を受ける人々も増えてきている.ステージⅠでの5年生存率は,胃がん・子宮がんでは90%以上であり,がん体験者としてその後の人生を生きる人が多いことを示している.しかし,病期のうちでも初期に焦点をあてた研究は少ない.本研究は,ステージⅠで手術療法を受けた胃がん患者がどのように病気を受けとめていくのか,そのプロセスを明らかにすることを目的とした.手術後5年以内である27名の研究協力者から半構造化面接法によりデータ収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った.ステージⅠで手術を受けた胃がん体験者が病気を受け止めるプロセスは,【がん診断により限定された生に直面】するが,『偶然戻った生に気づく』ことを経て,【取り戻せた生を生きる】という1方向への変化のプロセスであった.そしてその変化には,【がん診断と手術により変化した生活の回復】と,【日常性の回復】による『初期のがんであったことの恩恵を受け取る』ことが必要であった.看護支援では,変化した生活の回復と日常性回復のための具体的方略の提示が有効と考えられた.さらに身近にあるがん情報との相互作用の場面が多かったことより,提供する情報は,同じ病院で治療を受けたがん体験者の声などのリアリティがあること,いつでもアクセスできる媒体での提供,長期間に対応した内容であることが求められていることが示唆された.

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2011 一般社団法人 日本がん看護学会
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