2013 年 27 巻 1 号 p. 31-42
要 旨
本研究の目的は,がん患者の補完代替療法(CAM)に関する看護師の経験の実態を経験度と経験の中で感じた困難の内容から明らかにすることである.関東近郊の大学病院4施設でがん看護に携わる看護師375名を対象に,自記式質問紙調査を行った.回収は230名で,そのうち記入漏れのあった16名を除いた214名を分析対象とした.分析は,経験度は記述統計,Kruskal Wallisの検定を用い,困難の内容は質的に分析した.その結果,CAMの経験度は全体的に低かった.また「鍼灸」「ホメオパシー」「サメ軟骨」「アガリクス」「メシマコブ」「プロポリス」「マッサージ」「カイロプラクティック」「ハーブ」「丸山ワクチン」の10項目において,がん看護経験年数が長ければ経験度も高い傾向を示した.困難は,【患者・家族の自己判断】【患者の身体や治療への影響】【看護師として主体的に対応しにくい】【看護業務の弊害】【患者と医師の考えの相違】の5カテゴリ,11サブカテゴリに分類された.
以上のことから,看護師にはCAMを取り入れる患者・家族をありのままに受け入れる姿勢をもつと同時に,患者・家族がCAMについていつでも相談できる環境をつくっていくこと,そしてCAMに対する知識や情報を得ていく必要性が示唆された.