要 旨
本研究の目的は,緩和ケア病棟で行われている呼吸困難マネジメントの実践状況と,呼吸困難マネジメントと看護師の知識・技術・態度の関連を明らかにすることである.東海・北陸地域にある緩和ケア病棟に勤務する看護師276名に対し,看護師背景・呼吸困難に関する基礎知識・技術・態度・ケアの実施状況について質問紙調査を行った.回収率は89.1%であった.呼吸困難マネジメントの基礎知識の結果は,呼吸困難の性質,モルヒネの効果は9割以上と高く,医療用麻薬の追加が呼吸抑制に与える影響は5割程度と低かった.呼吸困難マネジメントにおけるアセスメントスケールの知識がある者は,実施している呼吸困難に対するケアが多いことから,スケールの知識をもとにアセスメントを行い,意図的に援助につなげていると推測された.呼吸困難に対するケアは,体位の工夫や不安の軽減は9割以上と高く,スクィージングは6割が理解し,4割が実施していた.重回帰分析の結果,身体的ケア実施には基礎知識,身体的ケア技術,呼吸困難に対する態度が影響していたことから,理解が不十分である知識や技術の教育が身体的ケアの実施を促進することが示唆された.精神的ケア実施には精神的ケア技術,呼吸困難に対する態度,コミュニケーションに対する態度が影響しており,呼吸困難に対する態度を養うことに加えて,コミュニケーションスキルを身につける必要があると示唆された.