日本がん看護学会誌
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研究報告
がん診療連携拠点病院のがん看護に関する研修企画担当者を対象とする「がん看護研修企画・指導者研修」の効果に関する追跡調査
中澤 葉宇子上杉 英生細矢 美紀森 文子
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キーワード: がん看護, 教育, 評価, 人材育成
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2013 年 27 巻 3 号 p. 54-62

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抄録

要 旨

目的:本邦のがん対策推進基本計画では医療従事者の育成が重点課題となっているが,明確な指針はなく,研修の質の保障が課題となっている.われわれは,がん診療連携拠点病院のがん看護の教育担当者を対象とした研修を実施している.研修は,効果的に研修を企画・運営する能力の習得を目的としており,研修の最終的な目標はがん患者へのケアの質を向上させることである.本研究の目的は,「がん看護研修企画・指導者研修」受講者の研修後の変化を評価することである.

方法:研修は講義とグループワークで構成し,2日間で実施した.調査は研修前・研修直後・研修約6カ月後の計3回,自記式質問紙を用いて実施した.対象は2010年度の受講者102名,調査項目はpilot testで実行可能性と内的整合性が得られた指標:研修企画・運営の実践に関する3ドメイン【研修の立案と準備】【研修の実施】【研修の評価】19項目(クロンバックα:0.72~0.87),研修の企画・運営に対する自信に関する4項目(クロンバックα:0.93)を用いた.

結果:研修前・研修直後102名(回答率100%),研修約6カ月後94名(回答率92%)から回答を得た.受講者の約半数が研修企画・運営の経験年数2年未満であった.実践に関するドメインスコア平均値は,学習達成度の評価の実施や評価基準の設定などに関する【研修の評価】について,研修前19.4から研修約6カ月後21.7と変化した(p=0.004,effect size=0.43).また,研修の企画・運営を行うことなどに対する自信のトータルスコア平均値が研修前8.2,研修直後12.6,研修約6カ月後10.3(p<0.001,effect size=0.50)であった.

結論:受講者の研修後の自己評価によって,受講者の研修企画・運営に関する実践と自信が改善した.本研究の結果,研修プログラムの有効性が示唆された.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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