要 旨
本研究の目的は,外来化学療法を受ける消化器がん術後患者の具体的な症状体験,セルフマネジメント力,自己効力感,QOLの実態および関連について明らかにすることである.そして,外来化学療法を行う消化器がん術後患者の自己効力感,QOLを高める看護への示唆を得ることである.患者のセルフマネジメント力を調査するために質問紙を作成した.
調査は,外来化学療法を受ける消化器がん術後患者61名を対象に聞き取り調査した.対象者の平均年齢は65.6±10.8歳.大腸がん38名(62.3 %),胃がん23名(37.7 %)であった.対象者のうち43名(70.5 %)に症状体験ありと回答があった.外来化学療法を行う消化器がん術後患者の実態は,栄養状態の変化や排泄の変化を生じている者が多く,無症状を示すperformance status 0の患者においては心理社会的変化を生じている割合が多かった.また,セルフマネジメント力では,行動の成果を評価する力を習得している患者の割合が低かった.症状体験がある患者には,セルフマネジメント力と自己効力感(r=0.338)に有意な正の相関が認められた.
症状体験がある患者においてセルフマネジメント力向上が自己効力感につながることが明らかとなり,セルフマネジメント力を向上させる介入の必要性と介入指標として本研究で作成したセルフマネジメント力調査項目が活用できることが示唆された.