日本がん看護学会誌
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原著
手術適応外のために定位放射線療法を受ける高齢肺がん患者の体験
野込 真由美秋元 典子
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2015 年 29 巻 2 号 p. 5-13

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抄録

要 旨

本研究の目的は,手術適応外のために定位放射線療法を受ける高齢肺がん患者の体験を明らかにし,必要な看護実践について検討することである.

手術適応外のために定位放射線療法を受ける高齢肺がん患者9名に,半構造化面接を実施し,Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析した結果,手術適応外のために定位放射線療法を受ける高齢肺がん患者の体験は,【手術への未練を断ち切れない】【高齢であっても手術に代わる治療法があることに感謝する】【治癒を信じ手術に代わる定位放射線療法に賭ける】【定位放射線療法以外に治療法選択の余地がないなら,治療後の望ましくない結果も合併症発症も治療中の不快感も引き受ける】【良い細胞まで放射線でやられてしまうと恐れる】【定位放射線療法の効果を信じきれない】の6大表題に類型化された.

手術適応外のために定位放射線療法を受ける高齢肺がん患者への看護実践として,まずは,手術への未練を断ち切れず引きずったままながらも定位放射線療法に賭けている患者の治療完遂を支援することである.しかし,治療効果が得られなかった時や治療後の肺臓炎発症時には,断ち切れず潜在し続けている手術への未練が引き金となり,手術適応外と判断されたことへの恨めしさが顕在する可能がある.その時には,これまで幾多の困難を乗り越えてきた自身の人生を振り返ってもらうことで自分のもてる力の再確認を促し,この事態を乗り越えることにつなげるような支援が必要である.また,放射線への恐怖感払拭のための支援,外来受診時や電話訪問による継続看護などの必要性が示唆された.

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2015 一般社団法人 日本がん看護学会
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