日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
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原著
初発乳がん患者が罹患に伴う情報を小学生の子どもに伝える決断のプロセス
藤本 桂子神田 清子
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2017 年 31 巻 論文ID: 31_fujimoto_20170220

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抄録

要 旨

本研究の目的は,初発乳がん患者が告知を受けてから小学生の子どもに罹患に伴う情報を伝えることを決断するまでのプロセスを可視化し,子どもに伝える時の看護支援の在り方を検討することである.小学生の子どもを持つ初発乳がん患者14 名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的帰納的分析を行った.伝える決断のプロセスは,がん患者ががん診断による衝撃を受けながらも,子どもの唯一無二の母親であるという意識のもと,母親役割を遂行するために子どもに罹患に伴う情報を伝えることに至る体験であり,母親役割の強化・停滞要因が影響していた.子育ての経験を活かした,これまで通りのコミュニケーションスタイルをとることで,子どもに情報を伝えることを可能にしていた.患者が母親役割を果たす強化要因を早期に把握し,強化要因を強化する支援が必要である.また,母親の存在意義を認め,子どもが持つがんのイメージを理解し,自信をもって子どもに罹患に伴う情報を伝えるための看護システム構築の必要が示唆された.

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2017 一般社団法人 日本がん看護学会
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