2017 年 31 巻 論文ID: 31_makino_20171022
要 旨
本研究の目的は,がん患者とその子どもを支援するプログラムの中で,患者同士の対話をもったならば,どのような対話の特徴があるのかを明らかにすることである.親子参加型のがん患者支援プログラムに参加した24 名の母親同士の対話内容を研究データとし,質的帰納的分析を行った.分析の結果,対話の中で母親は,【がん・治療に伴う不安の表出と共有】【母親としての悩みの共有】【他者のがん理解に関する情報共有】【がん体験をプラスへ転換する気持ちの共有】を行っていた.子どもをもつがん患者同士が集まることで,治療や将来についての身体的な悩みのみならず,母親役割遂行上の悩み,子ども・家族や地域の人たちのがん疾患への理解の困難さ,同病者ならではの容姿に関する忌憚のない気持ちを表出し共有していた.子どもをもつという共通の環境にあるがん患者同士が語り合う機会をもったことで,母親としての悩みを互いに共有し,情緒的・情報的サポートの場として活かされていた.