1995 年 9 巻 1 号 p. 37-45
要 旨
胃癌で手術療法を受ける患者の病名のうけとめと患者かたどる心理的プロセスを明らかにした.
対象は,手術療法を受けることを目的として入院した胃癌患者21名である.
研究方法は,面接法,参加観察法を中心にデータを収集し,補助資料としてカルテ記録を使用した.まず,患者の病名のうけとめを『がんである群』『あいまい群』『非がん群』の3群に分けた.
3群すべてにおいて,医師から発せられた言葉や言葉以外の医師の一挙一動は,患者の病名のうけとめに対して大きな意味を持っていた.
次に,各群ごとに得られたデータを整理し,心理的プロセスを比較検討した.
患者がたどる心理的プロセスは,『がんである群』『あいまい群』『非がん群』のそれぞれによって特徴がみられた.また,心理状態が大きく変化する時期は,概ね,身体状態の変化する時期と一致していた.
心理的プロセス上の同一時期に存在する心理状態にも3群間で相違点や類似した点が認められた.