抄録
侵襲下における生体のエネルギー需要は,内因性エネルギー供給と外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される.内因性エネルギー供給を考慮せずには,栄養療法と間接熱量計の双方を適切に活用できない.予測または実測の安静時エネルギー消費量(REE)と同等に設定されたエネルギー必要量を外因性にすべて投与するドグマに基づき,急性期でもearly full feedingが推奨されてきたが,内因性エネルギー供給全体が余剰となりoverfeedingは必定であった.長年の激論の末,early full feedingは,overfeedingによって重大な代謝性有害事象を惹起するため,ICU臨床栄養に関するガイドライン最新版において遂に禁忌になった.代わりに内因性エネルギー供給を考慮してエネルギー投与量を決定する合理的概念が採用されたことから,間接熱量計の役割はREEの実測だけではなくエネルギーバランス(underfeedingかoverfeeding)を正確に判定する次元にレベルアップされる必要がある.本稿では,間接熱量計に内在する種々のピットフォールを確実に回避可能な理論的活用法を提言した.