日本臨床栄養学会雑誌
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血液透析患者における高齢者栄養リスク指標(GNRI)と 握力(HGS)の同時評価の意義
大崎 時糸子横田 眞二
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2021 年 43 巻 2 号 p. 122-131

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抄録
【目的】高齢・長期透析患者の増加に伴い,低栄養やサルコペニアが問題化している.当院では栄養指標としてGNRI を用いて栄養指導を行っている.今回,サルコペニア評価項目である握力を測定し,GNRIとの関係性を検討した. 【方法】維持血液透析患者108名(男性79名,女性29名)を対象に握力測定を透析前に実施し,AWGS 2019 の握力基準で評価した.GNRIと握力の相関関係の有無も調査した. 【結果】平均握力は男性30.1±7.9 kg,女性18.3±5.8 kg.サルコペニア(可能性)群はサルコペニア非該当群に比べ,男女とも年齢が有意に高く,GNRIが有意に低値であった.握力とGNRIの間には男女とも有意な正の相関がみられた(男性rs= 0.3093 p<0.01 女性rs= 0. 4686 p<0.05).ROC解析によるGNRI カットオフ値は男女とも93.8であった. 【結論】透析患者においてサルコペニア予防のためのGNRIは93.8以上を維持する必要性が示唆された.GNRIと握力の同時観察は,客観性を保ちながらより有意義な栄養指導につながる可能性があり,どの透析施設でも簡便に実施できる利点がある.
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© 2021 一般社団法人日本臨床栄養学会
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