抄録
【目的】本研究の目的は,運動習慣のある中高齢男性における生活の質(QOL)の実態を把握し,日本食の食事パターン,および日本食の食事パターンを構成する食品群摂取量との関連を明らかにすることである.
【方法】本研究は,横断研究である.マスターズ陸上競技大会に参加した50 歳以上の男性14 名(平均年齢60.5±9. 5歳)を対象に,QOL 評価(WHOQOL-OLD),握力測定,食事調査を実施した.食事調査の結果から日本食スコア(JDI12,rJDI12)を算出した.QOL中央値で群分けした2 群間によりQOL下位領域,握力,日本食スコアおよび食品群摂取量を比較した.
【結果】QOL の総合得点(中央値(四分位範囲))は,低値群で3.7(3.4;3.8,n= 7),高値群で4.0(4.0;4.3,n= 7)であった.QOL 低値群は高値群に比べて,DAD(死と死にいくこと)の得点が低く(p= 0. 017 ,効果量 0. 60),握力が低かった(p= 0. 038,効果量0. 51).QOL 2 群間でJDI12 とrJDI12 に有意差はなく,QOL 低値群は高値群に比べて,果物の摂取量が有意に少なかった(p= 0.007,効果量 0.66).
【結論】運動習慣のある中高齢男性において,QOL の2 群間でQOL の下位領域に差を認めた.QOL を良好に保つためには,筋力維持や,日本食の食事パターンを構成する食品群のうち果物の積極的な摂取が重要である可能性が示唆された.