2010 年 12 巻 1 号 p. 19-23
新病院開院からの乳癌手術パス(適応56例)についてバリアンス分析を行い、今後の課題について検討した。開院当初は電子カルテシステムに慣れることを含めた通常の業務におわれてしまうために実際に電子パスを運用する過程でバリアンスの発生を意識・確認するには無理があるのが現状であった。そこで、パスを逸脱とする明確な基準を設定した上でバリアンス分析をした結果、逸脱は33例(59%)と非常に多く、現在のパスでの退院日の設定には無理があると考えられた。しかし、術直後に化学療法を施行したために逸脱となった11例を仮に外来化学療法とすれば逸脱は22例(39%)に減少するため、今後は外来化学療法へシフトすることや入院中に化学療法が必要な症例では新たなユニットを運用するなどの工夫が必要と考えられた。今後、バリアンス、特に逸脱とする基準を医師と看護師間で明確にした上でパスを運用することが必要と考えられた。