2010 年 12 巻 1 号 p. 24-29
近年、クリニカルパス(以下CP)の導入により医療の質の標準化と在院日数の短縮が図られてきた。当院でも、2003年より人工膝関節全置換術(以下TKA)を3週間CPから開始し、2005年からはDPCを視野に2週間CPに改定し理学療法プロトコールも早期ADL獲得を目指したものに改定を行った。それにより、早期にADLの獲得が可能になり在院日数も短縮されたが、医学的要因では自宅退院可能な状態にもかかわらず退院に対する不安などの心理的要因にて退院が遅延し、在院日数が延長するバリアンスが認められた。そのバリアンスに対して我々は、2007年10月より急性期病院の早期退院支援訪問リハビリテーションサービス「おうちでリハ」を考案し導入を開始した。その結果、2週間CP群とおうちでリハ群では、手術から自宅退院期間が中央値で18.0日から13.0日へと改善が認められ、両群の2週間以内の自宅退院数も72名中16名(22.2%)から11名中6名(54.5%)へと、おうちでリハ群において有意に増加した。このことより、「おうちでリハ」を導入することによって退院後早期より訪問リハビリが介入し、自宅で継続してリハビリが行える安心感から心理的要因が軽減し、2週間CPに準じた自宅退院が可能になってきたと考えられる。「おうちでリハ」の導入は、2週間CPの手術からの在院日数短縮に有効なアプローチである可能性が示唆された。