本研究では、院内パス委員会の組織構成とパス使用率との関連性について考察した。
対象は2010年9月、日本クリニカルパス学会が1,432施設に実施したアンケート調査(回収率39.5%)の個票データから、パス委員会の構成メンバーが把握可能な517施設とした。院内パス委員会の組織構成ならびにパス使用率に影響を及ぼす可能性のある項目について多変量解析を行い、パス使用率に関連する因子を探索した。さらに得られた因子とパス導入による効果との関係を明らかにした。
単変量解析の結果、施設のパス使用率へ有意に影響を及ぼす項目は、パス委員会への薬剤師、事務職の参画、および許可病床数の3因子であった。しかし、多変量解析により交絡因子を除外した結果、薬剤師の参画のみが関係していた。また薬剤師が参画している施設ではインフォームドコンセント、チーム医療、医療の質の向上、リスクマネジメントの達成率が未参画の施設に比べ有意に高かった。
パス使用率が高い施設ほど薬剤師がパス委員会に参画していることが明らかとなった。薬剤師が組織活動のなかで専門知識を発揮することでインフォームドコンセントや医療の質の向上などの目標が達成され、結果的に施設のパス使用率が高まった可能性があると考えられた。