日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
バリアンス発生要因分類の標準化とバリアンス分析方針表
勝尾 信一片岡 亜季子恩地 英年吹矢 三恵子中川 美絵角 奈央子清水 秀美坂下 香苗
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2014 年 16 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

 バリアンス分析を効率的に行うために、多くの施設でバリアンス発生要因分類(バリアンスコード)を用いているが、各施設でバラバラなバリアンスコードが用いられている。全国100施設にアンケート調査を行い、57施設からバリアンスコード表の提供を受けた。これを標準化し、3階層で大分類4項目、中分類14項目、小分類15項目からなるバリアンスコード表を完成させた。多くの施設が電子カルテにBasic Outcome Master(BOM)とセットで搭載することにより、それぞれの施設のマスタ作成の時間と労力はかなり削減でき、さらにはアウトカムデータだけではなく、バリアンスデータの施設間比較も可能になり、質の向上に大きく寄与できるものと思われる。そして、10種類のクリニカルパス各30症例から収集した11,011件のバリアンスデータを基に、新たに作成したバリアンスコードに対応した、バリアンス分析方針表を作成した。バリアンス分析方針表は、それぞれのバリアンスコードとそのバリアンスの発生頻度に合わせた対応を一覧表にしたものである。クリニカルパスの種類やバリアンス収集方法の枠を超えて使用できる、汎用性のある分析方法を示した道しるべと捉えることができる。多くの施設が継続的にバリアンス分析をするための一助となることを期待する。

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© 2014 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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