2015 年 17 巻 3 号 p. 276-282
目的:当院のクリニカルパス(以下、パス)適応率は52.5%と低く、原因は医師やパスに関係が少ない部門の理解が低いためである。そこでパスの理解と適応率増加を目的とし、e-ラーニングにてパスの基礎知識習得に努めたので報告する。
方法:1)旭中央病院パス委員会作成のパス問題1,2)を自己学習後、医師以外の主な職員392名にe-ラーニングで回答させた。2)全職員494人を対象にパスの基礎を講義後、初級、中級、上級パス基礎問題を作成し、同様に回答させ、合格者率を検討した。3)新たな対策として上級合格を人事考課最高ランク取得の必要条件とし、その後の合格者率とパス適応率を検討した。
結果:1)問題の実施率が高い部門はリハビリ、薬剤、栄養、検査、5西病棟、4西病棟、3西病棟であったが、その中で合格者率がリハビリ0%と低い部門を認めた。2)上級編合格者率の高い職種は取り組みが積極的であった検査、栄養、リハビリ、薬剤科であり、低いのは医師、事務であった。病棟ごとでは、パス適応率の高い科が属する3西病棟看護師合格者率が上級50%と高く、パス適応率の低い科が属する4東と3東病棟看護師合格者率は上級6.25%、18.75%と低かった。3)新たな対策は、医師以外の職種には効果的であり、最終的に約7%のパス適応率増加を認めた。
結論:パスに関するe-ラーニング施行により、パスに関係の少ない部門のパスへの理解が高まり、パス適応率が向上した。