2017 年 19 巻 2 号 p. 107-111
目的:腰椎変性疾患患者の術後の健康関連QOLに関連する因子を調査し、当院クリニカルパス(以下、パス)の検討を行うことである。
方法:2003年1月から2013年12月までに当院において腰部脊柱管狭窄症、または腰椎変性すべり症と診断され、腰椎椎弓切除術を施行された90例(男性61名、女性29名)、平均年齢66.56±8.84歳を対象とした。パスでは術後3週で退院し、2年間の定期的な診察で経過観察することになっている。本研究では退院後1年経過時のSF-36から算出した身体的健康度(Physical component summary:以下、PCS)、精神的健康度(Mental component summary:以下、MCS)、役割/社会的健康度(Role/Social component summary:以下、RCS)を従属変数とし、年齢、性別、在院日数、退院時の疼痛・しびれ・感覚障害の有無、SLRテスト、退院後の運動療法の有無を独立変数とし、重回帰分析を用いて関連性を検討した。有意水準は5%とした。
結果:PCSでは性別、年齢が選択された。MCSでは退院後の運動療法の有無が選択された。RCSでは退院時の疼痛の有無、年齢が選択された。
結論:腰椎椎弓切除術を施行された患者では、年齢や性別を踏まえたうえで、入院から退院後のフォローを含めて一貫したパスを検討していく必要があることが示唆された。