日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
外来点滴センターと癌化学療法へのクリニカルパス導入の意義
平野 誠柴田 和彦茶谷 和恵阿部 定子小林 絹子丸岡 ひとみ高瀬 美咲枝
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 5 巻 1 号 p. 3-11

詳細
抄録

 癌化学療法において、リスクマネジメントの徹底は急務である。そこでわれわれは癌化学療法をハード面とソフト面の両面において改善を試み、リスクマネジメントの徹底を模索した。まず、全職員を対象にオンコロジー勉強会を開催し、癌および癌化学療法に対する知識の向上とリスクマネジメントの啓発を行った。毎回約50名の医師、看護師、薬剤師、コメディカルが集まった。その結果、ハード面では外来点滴センターの開設の必要性が提案され、またソフト面では化学療法レジメンの統一、クリニカルパスの導入などが議論された。ハード面での外来点滴センターは委員会を設けて設計・運営方法などを十分検討した後、平成14年7月に9床で開設した。開設後5ヶ月経過した現在、外来化学療法は1日平均4人、利用者は1日平均10人であった。スタッフは常駐医師1人と専任看護師1人と兼任看護師2人である。外来点滴・注射業務が1ヶ所に集約され医療の効率化につながり、また患者にも好評である。一方、ソフト面ではレジメン内容と指示方法の統一をはかるために化学療法計画書および化学療法指示箋をエクセル画面で作成した。さらにクリニカルパスを導入することによって癌化学療法の標準化・効率化が推進された。今後、さらに副作用パンフレットなどの作成にも取り組み、患者にもわかりやすい治療を提供するとともに医療事故を未然に防止できる体制を整えたいと考えている。

著者関連情報
© 2003 一般社団法人日本クリニカルパス学会
次の記事
feedback
Top