日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
冠動脈バイパス手術(CABG; coronary artery bypass grafting)後の人工呼吸器離脱過程の標準化
―ユニットパス作成とその有用性の検討―
小妻 幸男宮嶋 卓郎管田 塁林 久美子濱田 倫朗川野 洋眞上杉 英之三隅 寛恭平山 統一本田 五郎國徳 裕二
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2004 年 6 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

 冠動脈バイパス手術(以下CABG; coronary artery bypass grafting)後の患者において、人工呼吸器から離脱させる過程を標準化すべく、従来の症例を調査・分析してユニットパスを作成し、その有用性について検討した。まずユニットパス作成前に過去のon pomp CABG患者49例(以下:非パス群)を対象に、術後人工呼吸器装着時から抜管までの時間(以下:術後挿管時間)、換気モード変更時のPaO2、SaO2および動脈血液ガス採血回数(以下:血液ガス採血回数)を調査した。非パス群の術後挿管時間の平均は12.7±7.4時間でありPaO2 100mmHg以上、SaO2 95%以上で各換気モードの切り替えが行われており、血液ガス採血回数は9.2±2.9回であった。この結果をもとに換気モード変更時に必要な観察項目を抽出し、その基準値の設定を行い、当院の日めくり式パスの形式に従ってユニットパスを作成した。これをCABG後(on pomp CABG)の18例(以下:パス群)に使用した。その結果、術後挿管時間の平均は6.2±2.8時間と非パス群に比べ有意に短縮し(P<0.001)、血液ガス採血回数も5.1±1.2回と有意に減少した(P<0.001)。ユニットパスを作成することにより、関係職種全体で観察項目を共有できるようになったこと、各職種間のコミュニケーションが取りやすくなったこと、結果として術後挿管時間の短縮というアウトカムが得られた。

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© 2004 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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