日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
6 巻, 1 号
日本クリニカルパス学会誌 第6巻 第3号 (Jan.31.2005)
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
原著
  • 酒本 護, 石川 成明, 小川 紀代美, 国分 敦子, 奥多 一文
    原稿種別: 原著
    2004 年 6 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     【目的】当院泌尿器科で最初に導入したクリニカルパスである前立腺針生検症例について検討し、その評価を行った。【対象・方法】2002年1月1日から2003年8月末までの間に前立腺針生検を行った61症例で、クリニカルパス未使用群(12例)と、クリニカルパス群(49例)とで、医療給付点数を中心に比較した。【結果】平均医療給付点数(合計)±標準偏差は、クリニカルパス未使用群6430±1120、クリニカルパス群6520±500で、平均医療給付点数(合計)は、有意差をもって増加傾向を認めた。これはクリニカルパス使用の時期に麻酔方法を局所麻酔から硬膜外麻酔に変更したためと超音波検査(前立腺)のパスへの記入を確実に行ったためと考えた。またクリニカルパス群の医療給付点数(合計)の標準偏差はクリニカルパス未使用群の約1/2であった。一方クリニカルパス使用群では注射の医療給付点数を減少させることができた。【考案】クリニカルパスを使用することで均一化された質の高い医療を提供できることや医療給付点数がコントロールできることが示唆されたと考える。

  • ―ユニットパス作成とその有用性の検討―
    小妻 幸男, 宮嶋 卓郎, 管田 塁, 林 久美子, 濱田 倫朗, 川野 洋眞, 上杉 英之, 三隅 寛恭, 平山 統一, 本田 五郎, 國 ...
    原稿種別: 原著
    2004 年 6 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     冠動脈バイパス手術(以下CABG; coronary artery bypass grafting)後の患者において、人工呼吸器から離脱させる過程を標準化すべく、従来の症例を調査・分析してユニットパスを作成し、その有用性について検討した。まずユニットパス作成前に過去のon pomp CABG患者49例(以下:非パス群)を対象に、術後人工呼吸器装着時から抜管までの時間(以下:術後挿管時間)、換気モード変更時のPaO2、SaO2および動脈血液ガス採血回数(以下:血液ガス採血回数)を調査した。非パス群の術後挿管時間の平均は12.7±7.4時間でありPaO2 100mmHg以上、SaO2 95%以上で各換気モードの切り替えが行われており、血液ガス採血回数は9.2±2.9回であった。この結果をもとに換気モード変更時に必要な観察項目を抽出し、その基準値の設定を行い、当院の日めくり式パスの形式に従ってユニットパスを作成した。これをCABG後(on pomp CABG)の18例(以下:パス群)に使用した。その結果、術後挿管時間の平均は6.2±2.8時間と非パス群に比べ有意に短縮し(P<0.001)、血液ガス採血回数も5.1±1.2回と有意に減少した(P<0.001)。ユニットパスを作成することにより、関係職種全体で観察項目を共有できるようになったこと、各職種間のコミュニケーションが取りやすくなったこと、結果として術後挿管時間の短縮というアウトカムが得られた。

  • 平田 正純, 竹下 秀之, 田久保 興徳, 劉 和輝, 渡邉 良子, 上田 静子
    原稿種別: 原著
    2004 年 6 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     大腿骨頚部骨折症例の治療にクリニカルパス(パス)を導入し、導入前後の在院日数および経済効果について検討した。対象は最近2年間に手術的治療を行った大腿骨頚部骨折93例であり、パス導入以前のコントロール群が36例、パス導入群が57例であった。大腿骨頚部内側骨折に対しては骨接合術または人工骨頭置換術を行い、大腿骨頚部外側骨折に対しては骨接合術を行った。3術式別にパスを作成しパス導入前後で在院日数、術後在院日数、全保険請求点数および1日あたりの保険請求点数について統計学的に比較検討した。大腿骨頚部内側骨折に対する骨接合術例では、全検討項目でパス導入効果を認めなかった。人工骨頭置換術を行った群では術後在院日数が導入前65.7日から導入後48.5日と有意に短縮し、全保険請求点数も271,280.7点から226,645.5点に減少していた。しかし1日あたりの保険請求点数に関しては有意差を認めなかった。大腿骨頚部外側骨折手術例も人工骨頭置換術例と同様のパス導入効果を示した。大腿骨頚部骨折におけるパス導入は、在院日数の短縮と総入院診療費の節減に有用と考える。

  • 高橋 周史, 三好 朗子, 大志万 芽久美, 辻井 泰子, 阪本 佐知子, 清水 英都子, 畑川 影美子, 河田 英里, 吉川 敏一
    原稿種別: 原著
    2004 年 6 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     内科系疾患は、外科系疾患に比し患者背景、臨床経過が多彩であるため、一般にクリニカルパス(以下パス)の作成は困難であることが多く、種々工夫が必要となる。出血性胃十二指腸潰瘍においても、患者背景も病態も多彩であり、パスの作成は容易ではなかった。過去の症例分析から、標準化が難しいと考えられた緊急内視鏡検査から止血確認までの絶食期間を避けて、比較的標準化が容易と考えられた止血確認後から退院までを対象期間としたパスを作成し、平成13年12月から平成15年3月の期間に入院治療した出血性胃十二指腸潰瘍62例中36例(58.1%)に使用したが、主として潰瘍局所の要因や、合併症などの全身的要因などの患者要因のため正のバリアンスが13例(36.1%)、負のバリアンスが11例(30.6%)と、バリアンス例が多かった。また、主治医が当初からパス通りに治療が進まない可能性が高いと判断してパスを使用しない症例が26例(41.9%)と多く、医師の標準化に対する認識不足という背景はあるものの、画一のパスでは、多くの症例に使用できる利便性の高いパスにはなり得ないと考えられた。今回の検討より、出血性胃十二指腸潰瘍に対するパスにおいては、治療アルゴリズムを取り入れるなどして、経過により経路を変更できるような形式が望ましいと考えられ、今後の出血性胃十二指腸潰瘍パスの進化の方向性が示された。

  • ~アルゴリズムパスへの進化~
    高橋 周史, 河田 英里, 平田 育大, 朴 義男, 三好 朗子, 大志万 芽久美, 吉川 敏一
    原稿種別: 原著
    2004 年 6 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     ケア内容や入院期間を固定した初版出血性胃十二指腸潰瘍パス(以下初版パス)の使用経験より、経過により経路を変更できるパスの形式が望ましいと考えられたため、今回、治療アルゴリズムを取り入れた第二版パスに改定した。緊急内視鏡検査で出血性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍)と診断された入院症例を対象とし、診断時から退院までの期間を、止血確認期、潰瘍治癒促進前期・後期、退院準備期の各ステップに分け、治療アルゴリズムにより次のステップとそのステップの日数が決定される形式のパスとした。第二版パスによる入院期間は5日~14日の幅を持つことになった。平成15年6月から同年12月までの期間に第二版パスを使用したところ、重症から軽症まで幅広い症例に使用され、パス使用率は87.5%(32例中28例)となり、初版パスの58.1%(62例中36例)に比し有意に増加した(p<0.05)。パス使用症例の平均在院日数は10.7日(5~19日)、バリアンス症例は17.9%(28例中5例)の成績であり、アルゴリズムをとりいれることにより、合理的で利便性の高いパスになったと評価できた。今後、アルゴリズムの分岐条件の評価と改善を繰り返すことにより、より至適なアルゴリズムパスへの進化が期待できる。

実践報告
  • 田中 信孝, 古屋 隆俊, 野村 幸博
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     パスを用いた医療の目標は、パスによる継続的な質改善プロセスが医療経済を含めた病院の新たな価値体系となることにある。それが実現されている医療をパス型医療とするなら、その医療効率はどのように表れているのかは、かならずしも明らかでない。病院とは病棟の集合体であることから、疾患単位ではなく病棟単位でのパスを用いた医療のあり様こそが病院総体のパス型医療の如何を反映するものと考えられるため、パス使用率50%の外科病棟を代表として、病棟単位でのパス使用状況が医療効率をいかに左右するかにつき検討を加えた。一般病棟全体でのパス利用率は21%であり、在院日数と新入院患者数との間に相関はえられていない。一方、外科病棟ではパス導入後、新入院患者数の増加、在院日数の短縮を認めたのみならず、両者の有意な負の相関、新入院患者数と1人1日入院金額とで有意の正の相関を認め、パス導入及び在院日数短縮の明らかなインセンティブがみてとれた。以上より、パス利用率が50%以上であればパス型医療が病院の価値規範となりうることが示唆された。

  • 國徳 裕二, 本田 五郎, 原武 義和, 副島 秀久
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     周病期管理のためのクリニカルパス(CP)を作成する際には、麻酔科医もチームの一員として参加することが望ましい。しかし、当院では病院全体でCPの運用が比較的進んでいるにもかかわらず、われわれ麻酔科医は積極的に参加する機会を逃してきたのが実情であった。

     今回、腹腔鏡下腎臓摘出術手術のための周術期用CPの作成に際して、術前管理の問題点として、患者の既往歴やリスクの把握が不十分なケースがあり、これらは麻酔科医の術前診察時に指摘されることが多く、診察後に急遽追加検査が行われたり、最悪の場合には手術を延期する事態に陥ったりすることもあった。このような事例は腹腔鏡下腎臓摘出術手術に限ったことではなく、外科系のすべての科で少なからず経験することであるため、麻酔科医の立場から術前のリスク評価の標準化に取り組む試みとしてCPのオプションシートとして活用すべく術前リスク評価シートを作成した。具体的には、患者の既往歴や術前一般検査(血算、生化、胸部X線写真、心電図、肺機能検査)の結果に基づいて、アルゴリズム的に必要な追加検査の流れや専門各科へのコンサルトの指標を示した。

     十分に活用することで患者の安全性の向上、周忌期管理の質の向上が期待できる。

  • 大山 直樹, 石川 一郎, 小熊 大士, 村瀬 正樹, 千葉 弘規
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     当科では平成14年6月からクリニカルパス(以下、パス)を導入している。対象はパス導入以前に行われた人工膝関節置換術(TKA)9例(以下、非パス群)と導入後に行われたTKA 15例(以下、パス群)である。非パス群は平均年齢が72.3歳、男1例、女8例で、術前の膝関節の可動域は平均11.1度から130.6度であり、パス群は71.5歳で、男3例、女12例で可動域は9.0度から128.0度であった。日整会膝治療成績判定基準(以下、JOA)は非パス群が平均55.0点で、パス群は51.4点であった。パスでのリハビリは2週で杖の使用、ADLの拡大を行い、4週で退院とした。杖歩行自立までの日数は非パス群が平均26.3日、パス群が21.2日と後者が有意に短かった。在院日数、術後在院日数も各々47.1日、33.5日とパス群が有意に短かった。診療報酬点数については、非パス群が平均250072点、パス群が217359点と前者が有意に高いが、一日当たりの診療報酬点数についてはパス群が平均4659点と有意に高かった。本研究で術後在院日数が予定した日数よりも長かったのは術後ADLを考慮してのことで、階段昇降、床からの立ち上がり等に時間がかかったためと考えられる。しかし、パスを利用することによって患者の術後リハビリへの意欲が向上し、治療に対して以前より前向きになったと思われた。

  • 尹 亨彦, 福原 謙二郎, 道浦 俊哉, 野中 健太郎, 岩瀬 和裕, 上池 渉
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     我々はクリニカルパス(CP)を導入し、肺癌手術症例の入院期間短縮化に努めてきた。CP導入によって、肺癌外科治療の質(術後合併症、術後在院死亡)および入院期間、入院費にどのような変化がもたらされたか検討した。CP導入後の全原発性肺癌手術症例108例を導入前の全95例と比較した。術後在院死は導入前後で差は無く、術後呼吸器関連合併症はCP導入後に減少の傾向にあった。術後平均(中央値)入院期間は、導入前後で各々21.8(10)日、10.2(7)日と導入後に有意に短くなった。通常の肺葉切除症例について検討した平均入院費では、CP導入前後で各々1320000円、1143000円とCP導入後に有意に減少し、一日あたりの平均入院費は、CP導入前後で各々90000円、169000円とCP導入後に有意に上昇した。肺癌手術療法において、入院期間短縮を目指したCP導入は手術療法の質を維持、向上することが期待でき、さらに医療費及び医療資源の有効利用をもたらすことが期待できる。

  • ―レボホリナート・フルオロウラシル療法―
    森川 美由紀, 松浦 常雄, 木村 厚雄, 柳川 康子, 亀田 千明
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     外来化学療法加算の新設に伴い、薬剤科では平成14年4月より外来患者への癌化学療法に際し抗癌剤の用量・用法・副作用チェックおよびミキシングを実施している。患者のQOLを損なわず、より一層の安全性および患者の化学療法への不安払拭の観点より当院繁用プロトコール(レボホリナート・フルオロウラシル療法)のパスを作成し、平成15年7月より試行導入した。

     パス導入の効果としては、医師の患者へのインフォームド・コンセントが容易になり、医療スタッフの癌化学療法に対する意識およびチェック機能強化により安全性向上に寄与できた。また、パス導入前後の患者への聞き取り調査結果より、治療方針の理解度および在宅での副作用対応の理解度アップ・副作用に対する不安軽減が達成された。

     パスの運用にあたり、外来スタッフと意見交換し部分的に改訂した。医療者用パスに受診時の問診欄を加え、患者用パスと、使用薬剤の説明や治療方法、副作用等をまとめた小冊子を作成した。また、化学療法施行中に必要があれば、薬剤師が患者の説明に赴くこととした。今後の課題として、指示および記録の重複・入院患者にも適用できるフォーマットの作成・バリアンスおよびアウトカムの設定が挙げられる。

  • 表 真由美, 勝尾 信一
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     当院では、脊髄腔造影検査(以下ミエロ)に対して以前よりミエロ指示書を使用し、2000年のクリティカルパス導入時より全科統一フォーマットのミエロパスを採用した。パス導入当初、検査用パスは作成されていなく検査に関しては、腰椎椎間板ヘルニア入院用パスのミエロの部分だけを抜粋して使用していた。その後、更に内容を標準化し重複項目を削除し検査用パスを作成した。さらにそのサイズを通常カルテの半分のA5版としプチパスが完成した。

     プチパスにしたことによってケア内容がより一層標準化され、指示のチェック漏れ・観察結果に関する記載漏れが大幅に減少しケアの充実が図られた。またヴァリアンス分析を行うことが可能となり、更なるケアの向上が行えるようになった。

  • 山嵜 正人, 中迎 昭子, 吉岡 秀郎, 伊藤 敏文, 三宅 貴仁, 平尾 はるみ, 山下 美幸
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     当院婦人科では、入院患者の約90%がクリニカルパスの適応となっている。3年間婦人科領域のクリニカルパスを使用した中で術後感染のヴァリアンスの頻度は低い。それまで抗生物質は、術後3日目までの点滴と術後4日目から8日目まで内服していた(第1群)が、2003年4月から手術中の京滴1回のみ(第2群)と変更し、比較検討した。対象は膣式子宮全摘出術:VT、腹式単純子宮全摘出術:AT、広汎子宮全摘出術:RADで、全症例数76例である。CDCガイドラインの手術部位感染診断基準より発熱(38.0℃以上)とドレーンからの排膿について検討した。結果、発熱においては、RAD:第1群1例、第2群3例、VT:第1群1例、第2群0例、AT:第1群1例、第2群3例であった。いずれも膀胱炎・耳下腺炎によるもので術後2日目には下降又は術後7日目の発熱であった。ドレーンからの排膿はRAD・VT・AT、第1群・第2群ともに認めなかった。よって、3つの術式において「抗生物質の使用を手術中のみに減量しても手術後の創部感染には有意差が無い」といえる。これは、患者への薬物による身体的影響や点滴という苦痛やリスクの軽減にもつながる。また医療費の削減、業務の削減にもつながる。今後も、エビデンスに基づいたパスを作成し、ヴァリアンス調査を重ね質の向上と効率化を図りたい。

  • ―4つの視点から―
    古田 美穂子, 尾野 洋子, 原 寿美子, 藤井 誠, CP委員会
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     当院における大腸ポリペクトミー(以下ポリペク)のクリニカルパス(以下パス)は1999年に導入した。2002年8月までにバリアンス分析をしながら数回の改訂をおこなっている。今回バリアンスの分析から、5日パス(4泊5日)から3日パス(2泊3日)へと退院日の設定を短縮した。

     3日パスが稼動して1年が経過した。在院日数を短縮したことで何か問題が起きていないか検討を行い、在院日数、臨床アウトカム、財務アウトカム、顧客満足の4つの視点で評価した。その結果、在院日数を短縮してもバリアンスの増加はなく、1日単価も増収していた。また3日パスで入院した患者の満足度も良い評価であった。

  • (患者満足度と職員意識の実態・平成13年と平成15年を比較して)
    堀川 俊二, 恵谷 厚見, 大本 典子, 筒井 薫, 藤越 貞子, 松岡 敏夫
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     尾道総合病院のクリニカルパスは平成12年10月の試験試行から約3年、クリニカルパス対象症例数・使用件数は大幅に増加している。当院では平成13年度にクリニカルパス使用に関するアンケート調査を実施しているが、今回現状の評価および問題点の洗い出しのため、平成15年度に同じアンケート調査を実施し比較検討を行った。クリニカルパス使用患者の評価は平成13年度と比べてほとんど変化なく、良好な結果となった。患者用パス作成に患者ニーズを取り入れ、説明においても高齢者・視力障害者等にも配慮するなど様々な工夫がなされた結果と考える。職員アンケートでは平成13年度と比べて最も大きな変化は医師であった。どの質問項目においても肯定的な回答が増加した。これはクリニカルパスの効果・利点を多くの医師が理解した結果であろう。逆にコ・メディカルでは否定的な意見が増加した。パス作成に多くの職種が関わり、連携を深める必要がある。

  • 一庵 智子, 高橋 周史, 木原 洋美, 柴田 明美, 林 睦美, 大志万 芽久美, 立木 三千代
    原稿種別: 実践報告
    2004 年 6 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 2004/07/30
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

     内視鏡的大腸ポリープ切除術(以下CF(P))パスにおける術前オリエンテーション業務の効率化とインフォームドコンセントの充実を目的に、患者用パス表以外にCF(P)の手技や全体の流れに関する説明、前処置薬に関する情報、前処置の方法、食事療法、同意書などをまとめた冊子型パンフレットを作成。パス使用症例に運用した上で、患者39名および担当看護師48名にアンケート調査を行い、その有用性を検討した。オリエンテーションの質の向上の面では、患者、看護師ともに患者の理解度や満足度の向上において有用であると高く評価したが、患者の不安の軽減という意味においては必ずしも十分目は言えない評価であった。また、業務の効率化の面では、過半数の看護師から有用と評価しながらも、オリエンテーションの所要時間の短縮に関しては有用であるとの評価はなされず、今後の課題として残った。以上、CF(P)パスに併用する患者説明用パンフレットは、オリエンテーションの質の向上には、精神面での課題は残るものの有用と評価できた一方で、業務の効率化にはさらなる改善が必要と考えられた。

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