日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
膝前十字靭帯損傷と半月板損傷の治療におけるクリニカルパスの効果
園田 昌毅池田 千恵子須賀井 雅子平林 君枝生田 謙二平野 彰一小松 義秀山本 義一
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2005 年 6 巻 3 号 p. 439-441

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抄録

 膝前十字靭帯(以下ACL)損傷と半月板損傷の治療におけるパスの効果についてアンケートとレセプトから調査した。2002年8月から2003年1月までに、パスを使用した症例中アンケート回収可能であったACL群26例、半月板群51例について検討した。また、整形外科病棟看護師21名に対するアンケート調査の内容を検討した。さらに在院日数と医療費のレセプト調査はACL群・半月板群ともにパス導入前後各20例について施行した。その結果、患者アンケートで、ACL群・半月板群ともに約60%が「疾病と治療内容をよく理解できた」、90%以上が「パスが治療の役に立った」と回答した。「パスの内容をよく理解できた」は、ACL群96%に比べ半月板群78%と低く、入院期間の短い半月板群でパス内容の理解が劣る傾向にあった。看護師アンケートでは、86%が「看護業務の負担が減った」、95%が「パス導入は良かった」と回答した。しかし「看護の質向上に役立ったか」に対しては67%と約2/3のみが役立ったと回答した。パス導入前後の在院日数はACL群・半月板群ともに減少傾向にあった。1疾患1日あたりの医療費は、半月板群で有意に増加しACL群においても増加傾向にあった。今回の検討から、これら疾患へのパス導入が患者・看護師の満足度、在院日数短縮などに効果的であるが、患者理解度、看護の質などの注意を要する項目も示唆された。

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© 2005 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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